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共犯と共謀はここが違う [政治]

安倍内閣が導入しようとしている共謀罪。戦前の治安維持法と同じ暗黒社会への入口なのだが、対テロ対策に必要だと宣伝している。もともとテロとは関係のないものなのだが、必要だと言われれば単純に納得してしまう人もいるようだ。

具体的に、どんな場合に共謀罪を使ってテロを取り締まれるのか、実例を使って説明すべきだろうと思われるが、「テロ対策に必要」という言葉を繰り返すだけで、そういった説明は見られない。できないのだろう。

日本でテロといえば、オウム真理教によるサリン事件が思い起こされるが、これは実行犯だけでなく、主だった幹部は処罰されており、共謀罪が無かったから捕まえられなかった犯人はいない。「実行犯」はもちろん処罰されたが、共謀した中で指示を与えた麻原彰晃は「主犯」として捕まった。井上嘉浩は地下鉄サリン事件では、実行犯でもなく、サリンを扱ったりもしていないが、共謀に参加したので「共犯」となった。テロ事件に共謀罪の出る幕はなかったのである。

犯罪の事実があれば、「共犯」になってしまうから、共謀罪はいらない。武器を用意しただけのテロ未遂も犯罪であるから、謀議に参加すれば「共犯」になる。共謀罪が何に適用されるかと言えば、犯罪でない準備行為の謀議に参加した時ということになる。例えば、謀議をして、武器調達のため現金が必要になり、参加者の一人がATMで金を降ろしたが武器は手に入らなかったといった場合だ。ATMを使う事自体は犯罪ではない。だから実行犯はおらず共犯者もいない。そこで共謀罪というわけだ。

しかし、これを処罰することがテロ対策に必要だろうか。この金を持って武器を買いに行けば、これは犯罪であるから共犯になる。共謀罪は、犯罪の事実がないのに逮捕された場合にだけ適用されるというおかしな罪なのだ。ATMを使うだけで終わらず、武器を集めるといった犯罪行為に進んで初めてテロ集団と言える。謀議だけで犯罪行為をしないテロ集団などありえない。

これは冤罪の温床になる。テロとは関係がなく、誰かを陥れるためにだけ使われるだろう。謀議だけだから、一切物証はなく、密告が主な証拠になるしかない。対立が起これば、相手方をテロリストだと密告する密告合戦が横行する。日本社会に密告制度を持ち込むというのがこの共謀罪法案の一番いやらしい所だ。

捜査の範囲がいくらでも広げられることが監視社会につながる。捜査要件は、「謀議をするかも知れない」でしかないから、誰でも捜査対象になるのだ。一見普通のサラリーマンだが、いつ何時テレビを見てテロにあこがれ、謀議を始めるかもしれないので尾行するなどといったことが許される。

誰でも警察の捜査対象にできるのだが、実質的には、有力者の意向を忖度して警察が付け狙う相手を決めることになるだろう。有力者に歯向かえば、捜査過程で見つけた不都合なプライバシーを暴露されるといったことが起こる。行きつくところは監視社会だ。誰をどう付け回したかは、秘密保護法によって隠されてしまうし、一度犯罪予備軍だと烙印を押されてしまうと、マイナンバーでどこまでも追いかけられる。暗澹たる世の中が待っている。

「安倍ちゃんや有力者はいい人だから悪い使い方はしないだろう」とか、「俺は有力者に気に入られているから大丈夫」などと思っているノーテンキな人が多いのには驚く。籠池氏を見てごらん。用済みになれば、いつでも捨てられる。使い捨てにされてから悔いても遅いのだよ。

共謀罪は、何としても阻止したい。
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