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天皇をないがしろにする安倍晋三 [政治]

8月15日の戦没者追悼式に天皇が出席して発言した。「かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」と、まっとうな追悼の言葉だ。天皇とは面識もなく人柄をよく知らないのだが、言葉を聴く限りしごくまともな人間だと思える。

2000万人のアジア人が殺され、200万人の日本人も死んだあの戦争の悲惨なことは、東関東大震災などの小事件とは全くことなり、500年や1000年で忘れてはならない惨禍だ。当時、最高権力者だった天皇は、なぜこのような惨禍を生み出してしまったのかを痛切に反省せざるを得ない。現天皇は、当時まだ子どもで、直接戦争には関与していないが、軍部の独走を止められないどころか、自らも戦争にのめりこんでしまった天皇の一挙一動を見聞きしている。

ようするに、もはや一人の人間に全権力を集中させる体制が成り立たない時代であることを身を持って学んだのだ。統帥権が天皇にあるため、首相であっても、陸軍大臣には口出しできないような体制なら、軍は独走するに決まっている。大日本帝国は、戦争を拡大して行き、どっちみちどこかで破綻するしかなかった。天皇が全知全能であれば、制御することも原理的には可能だが、情報も限られている。昭和天皇は松岡洋介に騙されてヒットラーと組んでしまったことを死ぬまで後悔していた。現天皇は「象徴天皇」と言う言葉をしばしば使う。天皇は、あくまで象徴であるべきであって決して元首になってはならないと言うのが現天皇の信念になっている。戦前回帰には反対なのだ。

天皇の政府が引き起こしてしまった大惨事ではあるが、「国民のたゆみない努力により」復興を遂げた。「戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い」、「世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と結んでいる。これもまともだ。日本は戦争で大変な誤りを犯した。しかし、なんとかまともな生活が出来るようになったのは、国民の努力によるものだと認めている。

追悼式では安倍晋三も発言しているが、これはひどい。天皇の発言にある「国民のたゆみない努力」を消し去り、「尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄がある」と戦争遂行の延長線上に今日を置く始末だ。犠牲を払って戦争を続けたことが何の役に立ったというのか。戦没者の多くは、勝ち目のない戦争を継続するために死んで行かされたのだ。

天皇が、こういった犠牲が避けられるべきものであったとして、「深い悲しみ」を吐露しているのに、安倍晋三は、まるで「犠牲」が必要なものだったかのように捻じ曲げている。戦争に対する反省はどこにも見られない。

天皇は単純に「世界の平和」を祈願するのだが、安倍晋三はちがう。「世界をよりよい場とするため惜しみない支援、平和への取り組み」として、平和に軍事活動を紛れ込ます。「世界をよりよい場とするため惜しみない支援」はイラク戦争への加担や、自衛隊の海外派兵であることは明らかだろう。戦争に勝つことが平和への道だとした東条内閣と変わらない。

安倍晋三は右翼であり、天皇礼賛者で、「臨席を仰ぎ」などと天皇を持ち上げているが、天皇の発言を真っ向から否定している。天皇崇拝を装いながら、天皇の発言をコケにしてはばからない。都合のいいときだけ天皇を利用する。これが現代「右翼」の正体なのだ。2.26事件の青年将校たちに言わせればまさに、「君側の奸」である。
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