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2万円トースターは必要なのか?

2万円もする高級トースターが人気だ。「外はかりっと焼けて中はもちもちで圧倒的においしい」ということだ。普通のオーブントースターと比較して確かに美味しさを確認しているブログも多くある。「信者」とでもいった方がいいような礼賛があると、異論を唱えたくもなる。褒めているのはいずれも、オーブントースターとの比較であり、ポップアップトースターと比較している人は見当たらない。

この背景には、最近のトースターがほとんどオーブントースターになってしまっているということがある。トースターは、もともといわゆるポップアップが普通で、焼ければ自動的に飛び出すようなものだった。今でもポップアップは、「外はかりっと焼けて中はもちもちで圧倒的においしい」。オーブントースターはオーブンの機能を使うためにポップアップの良さを投げ捨てたものだ。いつのまにか人々は、オーブンで焼いたパンをトーストと思い込むようになっていたということだろう。

「外はかりっと焼けて中はもちもち」にするためには、短時間で表面を焼き上げ、中を乾燥させないようにすれば良い。火力は強いほうがいいわけで、何もコンピュータでコントロールする必要はない。ポップアップはヒーターがパンの直近にあり、スイッチを入れればすぐに強い火力で焼くことができる。オーブントースターだと、まず庫内を暖め、やおらパンを焼き出すことになり、この間にパンの中が乾燥して行く。焼きあがったあとも、温度が冷めた庫内はパンを乾燥させる環境にある。だから、すぐに飛び出させる必要があるのだ。

二万円トースターの売りの1つはコンピュータによる完全な温度コントロールなのだが、トーストの火力は強いほうがいいわけだからこんなものは要らない。温度コントロールが必要なのはフランスパンを温めるような時で、これはトースターの役割ではない。そもそも、フランスパンは出来上がりをすぐに食べてこそ美味しいもので、暖めなおすなどという食べ方が間違っている。いくら上等のトースターでも焼きたてのフランスパンにはかなわない。

バルミューダのもう一つの売りは水蒸気を発生させることだというが、これは、焼き始め、庫内を温めている間の乾燥を防ぐに過ぎない。焼きあがった後の乾燥も、水蒸気があれば防げはする。しかし、焼いている最中に関しては、実は水蒸気は何の働きもしない。表面はカリカリに焼けるほど乾燥している。パンの中から見えるのは表面だけで、その先に水蒸気があろうがなかろうが関係がないからだ。乾燥する前に焼き上げてしまうのが一番だ。

要するに水蒸気はオーブントースターのだらだらとした加熱の欠点を補うだけのものでしかない。逆に焼きあがったあと長く庫内に放置すると表面が湿ってカリカリ度が失われるという問題も生じる。ポップアップトースターよりも美味しくなる理屈はどこにも無い。

それでは、普通のオーブントースターは全くダメなのだろうか? 欠点を補う使い方はある。まず余熱することだ。カラ焼きして庫内の温度を十分に上げておいて、それからパンを入れる。中をモチモチにするには、やはり1kw以上の火力は必要である。次には、焼けたらすぐに取り出すことだ。これでかなり美味しさが違う。バルミューダ信者たちは、一番へたくそなオーブントースターの使い方をして比較しているのだ。

安物のトースターでも、適正に使ったならば、値段が10倍もするトースターとの差は小さい。もっと重要なことは、パンは焼きたてに限るということだ。コーヒーはどんなに上等のヒーターを使っても、温め直しはまずい。パンもおなじことだ。冷凍のパンを高級トースターで焼くなどということは本末転倒もはなはだしい。古いパンは、一度蒸してそれから焼くのがいいというのは昔から知られているが、やりたいとは思わない。
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