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ラグランジェの華麗な数学テクニック------未定乗数法 [雑学]

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ジョセフ・ルイ・ラグランジェはイタリアの生まれの数学者だが、活躍したのは、革命の熱気が立ちこめるフランス・パリだった。ラグランジェ補間だとか、解析力学のラグランジェ方程式で知られるが、数式をひねくり回す技術の達人である。彼の数学テクニックの華麗さは見事と言う他ない。ラグランジェ方程式の導出に使った未定乗数法が、統計力学にも、有限要素法にも、数理経済学でも必須となっている。多変数でも、多条件でも、最大値を求めたり、最適化をする場合は、ほとんどこの方法が使われる。最適化は、どの分野でも大きな関心事だ。

簡単のために、二次元で話を進めよう。f(x,y)の最大値を求める問題だ。単純な最大値問題なら、微分=0として解けばいいのだが、これに条件g(x,y)=0が加わるとややこしい。g(x,y)の詳細を個別に検討しないとなんとも言えないように思われる。しかし、ラグランジェの方法を用いれば、g(x,y)が何であろうと、

h(x,y,λ)=f(x,y)+λg(x,y)

をx,y,λでそれぞれ微分してゼロとして解けば良いということになる。複雑な束縛条件が、まるで魔法のように消えてなくなる。なぜそうなるのかは、自明ではない。ましてや、彼がどのようにしてこの方法を思いついたのかは凡人の知るところではあり得ない。その中身を少し見て見よう。

f(x,y)の最大値というのは、等高線が示された地図の最高地点を求める問題と同じだ。言うまでもなく最高地点は、山頂である。dF/dx=0 dF/dy=0 を解けばすぐに求まる。条件g(x,y)=0というのは、山道のようなものだ。山道Sに沿って歩くとき、一番高度の高いのはどの地点かという問題が条件付最大値問題に当たる。この場合も、地図の上では簡単にP点であることがわかる。しかし、これを式で解くにはどうするか?

P点の特徴は、山道Sと等高線が接していると言うことだ。つまりSに沿って歩けば、上りから下りに移る平坦な所があり、そこが最高点だ。Sに沿っての f(x,y)の微分はゼロになる。しかし、道の左右は山肌ないし崖になっており、Sに沿わない方向への微分はゼロでなく、傾きを持っている。ここがタダの最大値問題と違うところだ。Sは曲がりくねっておりS方向などと言うものは一定ではないから困る。

勝手に導入した関数ではあるが、h(x,y,λ)をもう少し良く見て見よう。S上の全ての点で、g(x,y)=0だからS上では、λがなんであろうとh(x,y,λ)はf(x,y)と同じ値を取る。しかし、Sから少し外れると、g(x,y)はゼロでない値を持ち、λg(x,y)だけf(x,y)と違ってくる。この違いを、 f(x,y)の傾きと逆に合わせてやれば、ハズレ方向の傾きをゼロにできる。つまり、λの値を調整すれば、h(x,y,λ)はP点でのSでない方向の微分がゼロになるようにできることになる。

S上ではh(x,y,λ)と f(x,y)は同じ値なのだから、もともとh(x,y,λ)のS方向の微分はゼロだ。2次元で2方向の微分がゼロなら、どの方向の微分もゼロになる。平面の傾きはは2軸で決まってしまうからだ。だから、P点ではx方向の微分もy方向の微分もゼロになる。λでの微分は条件式そのものだからもちろんゼロになる。ラグランジェは、得体のしれないS方向を、x方向、y方向にすり替えてしまうのだ。

h(x,y,λ)は勝手に作った関数だから f(x,y)とは異なる。しかもλは未定だ。しかし、目的はP点のx,yを求めることだから、そんなことはどうでも良い。3つの式があれば3つの未知数が求まる。こうして、条件付きの最大値問題が何でも解けるようになった。その時のλは偶然の値ではない。これが物理的意味を持つことが、このテクニックのさらなる凄さだ。統計力学の分配関数はλとして求められる。
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