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山手線の架線支柱はなぜ倒れたか [雑学]

4月12日の朝、山手線の神田・秋葉原間で架線の支柱が線路上に倒れ、危うく大事故になるところだった。なぜこの支柱が倒れるということになったのだろうか。その原因を考えてみた。

事故が起こったのは、架線の終端部だ。架線は5トンもの張力で引っ張られており、片側からだけ引っ張られれば、支柱は当然倒れる。支柱が倒れるのを防ぐため、別の支柱の根元にステーが張ってあった。支柱そのものは線路をまたいで対になっており鉄の架橋で結んである。

倒れたのは、このステーが根元に張ってあった支柱で、架線には使われていなかったので、相方の支柱との間にある架橋を取り外したということだ。

支柱は高さ7mの鉄製パイプで重さ1.3トン、0.8mX2mで高さ0.8mのコンクリート基礎の上に設置されていた。この基礎は土中の2.5mX2.5mコンクリートで固められており、コンクリートの厚さは1mなどと報道されている。しかし、これは重さ3トンと発表されていることと矛盾する。1mも厚さがあれば10トンを超えるはずだ。現場の写真を見てみると、どう見ても厚さは50cmくらいしかない。底面はでこぼこだから、実効厚さ0.4mだと見える。これでも重さは6トンになる。

柱の高さは7mということだが、実はその上に架橋の残骸と思われる鉄の構造物が乗っかっているから、高さは8mにはなるだろう。残骸の重さは1トンと見ておこう。底面が2.5mしかないことを考えるとこれは、かなり安定性が悪い構造物だ。

倒れるかどうかは、モーメント計算になる。捨てコンの端を中心とするモーメントを考えてみる。大きな問題は、ステーが取り付けられているのが、根元といいながら支柱の基礎ではなく、支柱の下から1.5m位の所だということだ。ステーが40度くらいの角度で張られていたとすると、回転中心から見て力の方向は、丁度90度、つまり一番回転モーメントが大きくなる方向だ。

復元側のモーメントは、以上のデータでざっと計算して見ると、基礎が3.5tm、土台が6.7tm、支柱自体が3tmで合計13.4tmある。これに対して、ステーの張力によるモーメントは、5トンの50度分力として8tm位だから、5tm位の余裕はある。しかし、これは支柱が傾いていないという場合のことだ。

支柱が傾くと復元力は少なくなって行く。傾きが10度になれば、余裕は2tmになり、15度でゼロになる。つまり、もともと15度の傾斜で倒壊する物だったのである。

電車の通行で、かなりの振動がある。5トンの張力で張った架線の振動と電車の振動が共鳴すれば、張力は変動し、そのピークはかなり増える。ちなみに、張力が8.5tになれば、傾いてなくとも倒壊する。実際には、地盤の軟弱さが効いている。張力の変動のたびに、土台は、片側が沈み込み、傾いていっただろう。倒壊の状況から土台の片側が沈み込んでいることが伺える。事故の2日前に、すでに支柱の傾きが目撃されていた。

前述したように、支柱が傾くと復元力が弱くなる。10度傾いていた場合、張力が6トンを少し超えただけで倒壊することになる。傾きで、モーメント安定性が悪くなるという説明のスケッチを図に示しておく。

架線がつながった方の支柱は、傾きはしたが、倒壊しなかった。これは、架橋でもう一つの支柱につながっていたからだ。架橋がある状態で倒壊するには、架橋を大きく捻らなければならない。この抗力が倒壊を防いだのだ。その意味では、ステー側の支柱の架橋を取り外したことも、倒壊の原因になったと言える。
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いずれにせよ、簡単な考察でも危ないとわかるようなステーの取り方をしていたことは問題だと思う。JRは何の計算もせずに工事をしているのだろうか?曲芸的な階層構造で東京上野ラインを増設した工事は、本当に大丈夫だろうか。

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