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邪馬台国の新説---「五文字の謎」 [雑学]

邪馬台国の新説は、もう出尽くしたかと思っていたのだが、まだあった。「邪馬台国五文字の謎」である。壱岐が日本の中心だったという発想が面白い。著者が理科の先生であることにも親近感を覚える。古田武彦の邪馬壱国を踏襲しているので、倭国は本当は委国であり、委を含めて、「イ」と読める文字5種を全部壱で表すとストーリーが見えてくる。

壱岐にあったのは海人たちの壱国であり、朝鮮から鉄器を手に入れて強力な武装を施した。小さな島ではあったが、武器の力は大きく、たちまち九州北部を制圧し、都を置いたのが壱都であり、今の糸島半島と呼ばれている場所だ。さらに内陸に進出し、山の壱国つまり山壱国を築いた。これが邪馬壱国なのである。壱国自体は壱大国と称するようになった。女王が置いた監察使が壱大卒であるのは壱国の官吏と言う起源を持つからだ。

これだけの事なのだが、煎じ詰めれば語呂合わせでしかない。突っ込みどころとしては、食料の自給も難しい小島が、どうして鉄器の独占を保てたのかと言うことだろう。製鉄技術を消化するには十年以上もかかる。この間、他の強力な国々も交易で鉄器を手に入れただろう。豊かな国は新技術を消化するのも早い。壱岐が九州制圧と言うのには無理がある。

鉄の比重は7.8、これに対して青銅は8.3程度だから、戦争の現場でも、軽量で切れ味の良い鉄製の武器が優れていることは確かだが、槍なら棒の先につける一部だけだし、まだ貴重品だから使い捨ての矢尻としては使わなかっただろうから、武器としては人数が問題にならないほど決定的なものではなかっただろう。奴国あたりは、この時代以前から青銅器が盛んに作られていたことを示す遺跡がある。

魏志倭人伝の読み方としては共感するところが多い。陳寿が記述している内容は日本全体ではなく九州のことに限られている。大和説は、あやふやな伝聞記事の「水行20日陸行1月」だけを頼りに方角も捻じ曲げて邪馬壱国を遠くヤマトに結びつけたものに過ぎない。倭人伝は九州内の諸国については詳しいのに大和までの途中にあるはずの備前や出雲について何も書いてないし、国中が戦乱になった場合、全国ならそう簡単に卑弥呼を擁立して収まるわけも無い。戦国時代は100年も続いている。

だから、魏志倭人伝を素直に読めば九州説は当たり前なのだが、九州説の泣き所は、「その後」である。ヤマト政権に滅ぼされたのなら、その抗争記録の片鱗が見つかりそうなものだが見当たらない。本家の古田さんは、九州王朝が「磐井の反乱」まで続いたと言い出し、挙句に東日流外三郡誌のどつぼに落ち込んでしまった。「五文字の謎」は「その前」を補完するだけのものなので、新説としても重要性は低いように思える。
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コメント 2

かつ

九州説の人はよく「素直に読めば」といいますが、魏志倭人伝には「當在會稽東冶之東」と会稽郡東治県の東に邪馬台国があると書かれています。

ぜんぜん、素直に読んでいません。

会稽郡東治県は現在の福州市辺りで、その東であれば台湾の北側あたり。
そんなところに魏が金印を印綬するほどの大国はありません。

したがって、素直によれば魏志倭人伝では邪馬台国はわからないというのが正解です。

3世紀中に纒向に、それまでの環濠集落の2倍以上の巨大な都市が建設されて、弥生式墳墓の4倍規模の箸墓が出現する。

畿内系土器の庄内式及び布留0式が北部九州で大量に出土していて2世紀後半から3世紀にかけて畿内から大勢の人が北部九州へ流入し、定住していることがわかっている。

九州系土器の西新式土器は畿内では出土しないことから、畿内勢力の侵攻によるもので北部九州は畿内勢力に支配された。

3世紀後半に纒向型前方後円墳(那珂八幡古墳、原口古墳)が福岡に造営されていることからも、北部九州が畿内に組み込まれたことがわかる。

畿内説できまりですよ。

by かつ (2015-06-14 12:58) 

kodomo

福州から東に船出すれば、海流があって日本にたどり着くわけですから、「當在會稽東冶之東」は九州でも、機内でもおかしくありません。考古学資料から言えばたしかに日本で最も発達していたのは畿内ですが、邪馬台国が日本の中心であった必然性はないと思います。

中国と交流を盛んにしていた1つの有力な国が九州にあったと読むのは、私には素直な読み方と思われます。おっしゃるようにそれが畿内勢力に対して従属的な位置にあったかもしれませんが、それはそれでいいと思います。そのほうが、九州王朝はいつ滅びたかなんて難問がなくなりますからね。
by kodomo (2015-09-19 20:05) 

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