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イレッサ裁判(2) ----添付文書の実態 [イレッサ]

イレッサ裁判で問題となった「添付文書」と言うのは、薬剤に付属している説明書のことだ。これには、用法とか効能とか副作用が書いてある。イレッサの場合、「重大な副作用」として挙げてある最後が間質性肺炎(頻度不明)だった。

添付文書には通常、どんなことが書いてあるか。リウマチでほとんどの患者がブシラミンを処方されるが、通称リマチルといわれるこの薬の添付文書を見て見ると、8項目で、肺、腎臓、肝臓、筋肉、心臓その他に表れるありとあらゆる症状が羅列されている。

この中に間質性肺炎も挙げられており、発生頻度は0.03%となっている。1万人に3人しか発生しないものもしっかり書いてあるのだ。つまり、製薬会社は少しでも可能性のあるものは何でも「重大な副作用」として書いておく。これに書きさえすれば、責任がなくなる免罪符のようなものである。こんなものを全部まとも覚えているわけには行かない。頻度の高そうなものをチェックして、あとは変な症状が出てきたら考えるというのが現実的な医師の対処の仕方となる。

リマチルには発生頻度0.03%が数値で示されているが、イレッサでは頻度不明になっている。文法的には頻度不明は高率発生も含まれるというのが裁判所の解釈だろうが実際にはそうではない。

間質性肺炎は原因もよく解明されておらず、多くの薬に副作用として登場する。間質性肺炎(頻度不明)が書いてあるのは、例えばリピトールのような薬だ。リピトールはコレステロール過剰な人に処方され、小太りのお医者さんは、よく自分にも処方している。リピトールの副作用として筋肉痛などはよくあるが、多分自分に処方している医者でも間質性肺炎は気にかけていないだろう。「頻度不明」とは「多くない」と同義語になる。

間質性肺炎は、多くの薬剤にあまりにも頻繁に副作用として挙げられているために、頻度の少ない場合は、他の併用する薬剤と原因が分離できないので「頻度不明」になることが多い。薬剤に副作用は多かれ少なかれ必ずあるのであるし、多くの患者を診察しなければならない臨床医が、実際のところ間質性肺炎(頻度不明)にまで気を使う余裕がないのは当然とも言える。

裁判所は添付文書を文法どおりに読んだが、臨床医は経験が豊富であればあるほど、用例に即して読む。実際には5.4%の高率で間質性肺炎が発生した。間質性肺炎も原因性のものは、そう予後が悪いわけではない。原因を取り除けば治療も難しくはない。だから、治験の時に現れた3症例はいずれも大事には至らなかった。

もともと肺に病巣がある患者さんを相手にしているのだから、注意深く見なければ間質性肺炎を進行させてしまうのも仕方がない。しかし、高頻度に間質性肺炎が起こることを知っておれば対処も早い。実際、この副作用が大きく報道されてからは、死亡率が激減している。はじめから5.4%の高率で起こる副作用があることが、明示されていたら、事件は起こらなかったにちがいない。

添付文書がアリバイ的に作られてしまっている現実、そして高率の副作用発生を明示しなかった文書記述。これが事件の原因だということはあきらかではないか。


--イレッサ裁判を全部読む--

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