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選挙公報を読む---つくば市長選挙 [政治]

(2012年の市長選挙について書いています。2016年選挙についてはこちら)

つくば市で市長選挙が始まり、公報が配られた。そして明後日はもう投票になる。実際上、候補者を比較する資料はこの公報しかない。こんなもので良いのだろうかとも思うが、良く読めばかなりのことが読み取れる。

現職の市原氏は経験と実績がうたい文句になっている。6つの政策を挙げているが、いずれも「これまでやってきたし、これからもやる」がそのスタンスになる。

第一に挙げられているのが「国際戦略総合特区」で、これは国からお墨付きをもらった開発計画だ。このお墨付きをもらった事を実績として強調したいことがわかる。計画自体は研究なのだが、市原氏が考えている中身は「企業誘致」「産業育成」であり、この経済環境での行く末が不安になる。結局大きな赤字を作るだけという実例はいっぱいある。研究学園都市だから大丈夫などとは考えられない。つくばに30年前から研究機関があるからといって、別に産業はつくばでなくてはならない理由など何処にもない。言葉のあやでしかない文句にしがみついて何になるのかわからない。

二番目の教育日本一はどうだろう。市内の学校に資質を持った子が多く、学力テストの点数が高い。しかしこれは、前市長の時から同じで、だれが市長になっても変わらないのだから特に市長が実績などということではない。教育支出とか教員配置とかで他の市よりも優れたことをやったわけでもないし、やろうという具体的政策がないから意味のない項目としか思えない。

三番目は環境温暖化対策の推進で、これは項目に挙げるというだけでも積極性を示しているものだと評価できる。しかし、どうやってこれを推進するかが「産学官民共働」では中身になっていない。

四番目は「活力ある自立都市作り」である。自立都市というのは、つくば市の財政が他より豊かだと言う事がいいたいのだ。人口が増えている地方都市はそう多くはないが、これも特に市長の功績ではなく、電車が開通したり研究所が設置されたりした結果だ。むしろこの財政を背景に何をするのかが問題だろう。福祉レベルは赤字市並、38億かの余剰金を出し、土地の買い込みや廻らない風車に無駄遣いしたことは他の候補者が一様に批判している。何よりも考えなくてはならないのは学園都市の方向性であり、無批判に宅地や工場を増やすことではないはずだが、この配慮はまったくなさそうだ。

五番目は小子化・高齢者、六番目は安全安心の街づくりとなっているが具体性は全く無い。ただこれが市民の要求だと意識しているとは受け止められる。

総じて、何も中身なく、これまでどおりの市政を続けるというだけのものとなっている。現職3期目というとこんなものかという気がする。

これに対して、最も痛烈な批判を投げかけているのは五十嵐氏だ。「つくばはこんなもんじゃないんだ」と言うキャッチフレーズは、市原市政が、つくばの利点を生かした施策を何一つ展開していないことを指摘しているし、学園都市の方向性に対する無策を鋭く衝いている。

五十嵐氏は三つのスローガンを掲げる。①利権を打破②弱者を守る③世代交代である。①はこれまでの市政が、利権の争奪戦であったことを指摘し、これを打破することを第一に挙げている。このスローガンは市原氏も最初の頃掲げたことがある。結局市原氏の「利権」とは「前市長の利権」であったに過ぎないと言う主張だ。五十嵐氏は自分の利権を発生させない方策として「見える化」を挙げているから、具体策が伴っていることも評価できる。

②も弱者というものが存在し、それを守ることが市の努めだとする姿勢の表明だ。つくバスの拡充などの具体策もある。しかし、③はどうだろう。30代の市長を強調するが、それなら二期目はできないことになってしまう。このあたりで、政策の系統性が欠けていることが見えてくる。具体的な施策が並べられていて、それは良いことではあるのだが、みな細かい。市原氏が出している政策に対する批判もこうした系統性のない方策を並べるだけでは出てこない。

こういった細かい施策は、市原市政でも取り上げられていておかしくない。市原氏が出している政策とは矛盾しない。五十嵐氏も市議として在任中に提案できたはずだ。にも関わらず為されなかったのは何故か? 市原市政が良くなかった根本原因がどこにあったのか、それを正すための根幹はなにか?こういった問いに答えられていないところに問題がある。ここに踏み込まなければ実際に市政を行っても市原市政と同じ結果になるだろう。

具体策でも疑問なものがある。市役所と企業の人事交流などがそれだ。企業の人を市役所の管理職に抜擢するのはよくあるが、市役所のモチベーションを下げるだけで終わることが多い。これは「交流」ではない。逆に一流企業の管理職に市職員を受け入れてもらうのは難しいだろう。自身がコーチングをやっており、コーチングによる市役所内のリーダー育成などとなると、身内を市役所の重要ポストに配置すると言っているようなものだ。

「学童保育を6年生まで」も難しい。今でも学年が上がると学童保育のプログラムは成り立ちにくい。塾や、サッカーなどの習い事との関係をどうするか、学校のあり方についての基本的な政策が先だろう。中高一貫や小中一貫あるいは学区の問題を飛び越えて、学童保育を持ち出しても施策にならない。

桜井氏は「つくばのサッチャー」をこのせまい紙面で何回も出しているが、鉄の意志とリーダーシップを強調するためのものだ。市原市政はトップダウンと言われ、リーダーシップの不在が問題になっているわけではないから、すこし違和感がある。なにもつくば市民がリーダーを欲しがっているわけでもないのに、リーダーを売り込まれても困る。

政策として掲げるものはかなり具体的で、検証可能な項目があることは評価できる。羅列的であるが、中に市原批判を含むものがある。退職金、東京事務所がそれだ。しかし、これが痛烈な批判に見えずむしろ揚げ足取りに写るのは、対置する政策がないからだ。東京事務所などと言うものを作ろうとする姿勢の何処が桜井氏の政策と衝突するのか、文面からはわからない。

市民病院が廃止されたが、旧筑波町の人たちは筑波大病院や記念病院に非常に遠いわけでもない。つくばは県内の他の町と比べれば医療機関が突出して多い。地域票だけを狙った政策は、市全体を考えるべき市長としてふさわしいものだろうか。

スクールバスの導入とはどういうことだろうか? 学区の自由化をさらに進めて遠距離通学をさせるということなのか。歩いて通える距離に学校を配置することこそ重要ではないのか。

TXの北部伸延というのもあるが、これは市長ができることでもないし、全く検討不足と言うしかない。本気なら市の財政破綻をもたらすし、掲げるだけの政策なら、欺瞞的なものだ。

総じてまとまりのない政策の羅列は検討不足であり、単なる作文であるとしか思えない。おそらく候補者本人も来年になれば何を書いたか覚えていない位のものだろう。

山中氏は3つのビジョンを掲げている。第一が「市民が決める」で、これはトップダウンや裏取引で決っているという市の現状をズバリ指摘し、これを改めるというのだ。それは良いことだし、一番に挙げているから力点でもある政治の根幹だ。しかし、その具体策は示されていない。市民が決めるといっても、実際には市議会があるし、市長が市民の声を広く聞くという姿勢の表明でしかない。

第二は「暮らし第一」ということで、これが自治体本来の仕事だと言う。これは「総合特区」を一番に持ってくる市原市政との対比を明確に示している。国保、医療費、介護などで具体的な施策も挙げられており、これをどう実行に移すかが、第一のビジョンの生かしどころだろう。

第三は「モノをいう市長」として東海第二原発の廃炉、消費税、TPPにつくば市民を代表して発言するという。自治体というものが単に国の下請けであってはならないという考えが見られる。意見がはっきりしていることはわかりやすい。しかし、こういったことに反対の意見を持つ市民からは疎まれるだろう。それを承知で表明するだけ堂々としているのは立派だ。

学園都市をどう発展させるかと言う点に関して明確なビジョンが示されていないが、確かにこれは簡単なことではない。それは「市民が決める」ことであり、研究者が決めることでもある。第一のビジョンがどう実現されて行くのかが課題として残る。総体として良く検討された政策であり、系統的でもある。

以上4人の候補者の掲げる公報をじっくりと読んでみた結果だ。狭いスペースではあるが、やはり違いは現われる。具体的な政策に裏打ちされた基本的な考え方を読み取ると言う視点が大切だ。有権者は公報をじっくりと読むべきだ。誰が当選するかわからないが、この公報を次回の選挙の時に取り出して市長に「総括」を要求してみたい気持ちだ。
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